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え〜い、一口紹介だ!

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 7月 4日(土)09時35分0秒
  最近、お店では「フォーク」がマイブーム。団塊世代のオジさんが若い頃、ロックよりも身近な
存在として周りに「あった」のが「フォーク・ソング」。懐かしさと、ほろ苦さと、若気の至り
がミックスしたような気分を噛みしめながら、聞き惚れています。
以上、今週もグレローニュースは、USO800Khzでお送りしました。

                  
相変わらず、買い込む量が、読む量を大幅に上回って、課題図書が溜まる一方です。
(本が売れない、なんてどこの世界の話かと思います。)

というわけで、最近読んで面白かった数冊を、まとめて一口紹介することにします。

<アンティキテラ 古代ギリシャのコンピュータ>(ジョー・マーチャント 文芸春秋)
1901年、ギリシャのアンティキテラ島の沖の沈没船から、ブロンズの奇妙な機械が引き上げ
られます。

100年以上にもわたる研究の結果、それは、2000年以上も前に作られたもので、何十とい
う歯車を複雑に組み合わせて、太陽、月、星など天体の運行を予測する「コンピュータ」らし
い、というのが現在では定説になっています。当時、既に天文に関する正確な知識を持っていた
ことに驚く一方、例えば、歯の数が223(素数)の歯車を作るという技術力の高さにもため息
が出るばかりです。
仕組みの解明を巡る先陣争い、功名争いなど人間くさいエピソードもたっぷりで楽しめます。

<打ちのめされるようなすごい本>(米原万里 文春文庫)
ロシア語通訳というより、エッセイストとしての活躍が目覚しかった氏が亡くなる直前までの
10年分の書評集です。速読が特技だそうで、一日に7冊くらいは読んでいたらしい。

しかも、対象はというと、新旧ロシア、イスラムとキリスト教、アメリカの世界戦略など、グ
ローバル、広範かつヘビーなものばかり。ちょっと気になる本に付箋をつけていたら、付箋だら
けになりました。
癌の告知を受けてから、癌に関する本を徹底的に渉猟して、病に立ち向かう雄雄しい姿には思わ
ず粛然としてしまいました。合掌。

<イチローの流儀>(小西慶三 新潮文庫)
数多い「イチロー本」のひとつですが、著者は、共同通信の記者で、イチローの番記者的な存
在。超人的な技術、精神力など語り尽くされた感がありますが、知られざるエピソードとして、
イチローの用意周到さに触れた部分が興味深い。

オリックスに入団して数年の頃、既に将来のメジャー入りに備えて準備をしていたというのだ。
広いアメリカでの移動には、時差が付きまとう。また、試合が延びたりなど、いろんな状況で一
睡もせず、試合に臨むケースが想定されます。
そのための準備として、(ペナントレース中は無理ですから)オープン戦の前日、わざと一睡も
せず、試合に臨むというシュミレーションをやっていた、というのです。
その経験と自信が、メジャーでも生かされて、結果を出せた、というのですが、、、、
とにかくすごい選手です。

<ミニコーナー>
引き上げられたアンティキテラの歯車(左)と想像復元図(右)です。
 

怖い美人画

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 6月27日(土)09時05分1秒
  先週の土曜日、マスターと一緒に「本と街の案内所」(http://go-jimbou.info/annaijo/
)で、ボランティアデビューをしました。何回か下見してきた知識と、パソコンの検
索ツールを使って本や街の案内するのは私的には楽しい経験でした。案内した書店で、
探していた本が見つかった、とお礼に来られたお客さんがあって、疲れが吹っ飛びま
した。月1程度、自然体で続けていこうと思います。
以上、今週もグレローニュースは、USO800Khzでお送りしました。
                  
下の絵をご覧ください。どうです?素敵な絵でしょう?何かを訴えかけるような悲し
い眼差しと高貴な顔立ちが観るものを引き付けて止みません。(愛妻には内緒ですが、
私が一番好きな美人画)

彼女の名は、「ベアトリーチェ・チェンチ」。16世紀のイタリア貴族の娘です。
以前にも紹介した「怖い絵」シリーズの第3弾(中野京子 朝日出版社)が最近出た
のですが、その中で、この肖像画(伝レーニ作)が取り上げられています。

この絵の背景にある怖い話とは、、、、、、、、

伝えられるところでは、彼女の父フランチェスカは、暴力的かつ不道徳な男で、妻と
息子たちを虐待したばかりでなく、チェンチにも性的虐待を繰り返していたという。
連日の如く繰り返される虐待に耐えかねた家族は、当局に訴えるのだが、相手にされ
ず、遂に父親殺しを計画します。

麻薬を盛ったが殺すに至らず、バルコニーから突き落とされて、父親は死ぬ。
警察の厳しい追及、拷問により、チェンチを含めた家族が犯人とされ、死刑が宣告さ
れます。
事情を知ったローマの人々は、裁判所の決定に抗議、助命を嘆願するのですが、時の
ローマ教皇クレメンス8世は全く耳を貸さず、刑は執行されます。斬首という酷い刑
にチェンチは従容として従います。そして、この絵は、処刑の前日の彼女を描いたも
のだとされています。

以上が概ね定説とされている事件の経過です。
当時でも大事件であったはずですが、その事件が今でも伝えられ、定説として定着す
る上で大きな影響を与えたのが、かのスタンダールが発表した「チェンチ一族」とい
う作品。
彼がイタリアを旅行した際、肖像画に触発され、また、チェンチの処刑のわずか3日
後に書かれたとされる市民の日記(彼自身が発見したとされていますが、信憑性につ
いては、議論があります)が小説家魂を大いに刺激したらしい。

なお、父親の実像についても、種々議論があり、まして、真犯人を巡っては、依然と
して謎が残されています。事件により最大の利益を得たものが犯人だとすれば、チェ
ンチ家の滅亡により財産を懐に入れることとなった教皇の関与を疑う声は今でも強い
のです

3匹目のどじょう本ですが、ボッチチェリの「ビーナスの誕生」なども取り上げられ
ていて、なかなか楽しませ(怖がらせ)てくれます。
 

マスターへ(私信)

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 6月20日(土)19時35分26秒
  今日はお疲れさまでした。
この調子なら続けられそうです。
Javaもなかなか楽しいですよ。
 

ゼロの妖気

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 6月20日(土)09時05分4秒
  マスターお奨めの「60歳のラブレター」を愛妻と観てきました。
3組の夫婦が登場するが、熟年離婚した夫婦のエピソードが興味を引いた。ひたすら耐えてきた
妻(原田美枝子が好演)は、呪縛から解き放たれたようにどんどん自立への道を歩んでいく。
一方、男の方は、かっこよく始めたつもりの愛人との共同事業もうまくいかず、落ち込むばか
り。いろんな経過があって、最後はハッピーエンドで終わる。このあたりシナリオの甘さも目に
付くが、「妻は俺が養ってやっている」、「俺がいなければ何もできない」などと思い上がって
いる世の亭主ども必見の映画かも。
以上、今週もグレローニュースは、USO800Khzでお送りしました。
                  
店頭で、「異端の数 ゼロ」(チャールズ・サイフェ 林大訳 早川NF文庫)が眼に留まった。
副題には「数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念」とある。
「異端」といい、「危険」といい、この本が発する妖気のようなものにほろほろと誘われて読ん
でみると、止まらない。

ピタゴラスを中心とするギリシャ数学の世界は、そもそも幾何学的志向が強く、その必要性が薄
いこともあったが、ゼロという概念は、非常に都合の悪い存在であった。
「ある数にその数自体を足すと、違う数に変わる法則(1+1=2のように)」(アルキメデス
の公理)というのがあるが、ゼロはいくつ足してもゼロであり、この公理に反する。ゼロがから
む割り算が厄介なこともご存知の通り。(本書には、ゼロの割り算を利用(悪用?)して、「ウ
ィンストン・チャーチルが人参である」ことの証明が載っています。)

全ての事象は、整数と整数の比率(ratio)で表現されることが基本であり、合理的(rational)
とするギリシャ数学では、正方形の対角線の長さが、無理数であることが、ピタゴラス学派の最
大の秘密とされてきました。(その一方で、図形的に一番美しいとされる「黄金分割比」が無理
数というのも皮肉ですが、、、、、、、)

計算のしやすさ、記数の便利さなどというのを犠牲にしてまで、数学的な統一性、美しさにこだ
わり、ゼロという概念を拒絶したのがギリシャ数学の特質であったわけです。

それだけなら、学問上、実務上のテクニカルな問題とも言えますが、アリストテレスに至って、
「ゼロ」(無)と、それと裏腹な関係にある「無限」と言う概念を拒絶することは、のちのキリ
スト教的世界観を理論面で支え、2000年にわたり、ヨーロッパを支配することになります。
「ゼロ」と「無限」の概念がなぜキリスト教とつながるのか、というと、、、、、、、

アリストテレスの宇宙観によれば、宇宙の中心は、地球であり、天体として静止している。その
地球の周りを、惑星をその内に含む天球(水晶球のようなもの)がいくつか運動しているという
のだ。一番外側の天球の「向こう側」などというものはなく、最後の層で宇宙は突然終わる。宇
宙の大きさは有限であり、物質に満ちている。「無」も「無限」もそこにはない。

で、天球はそれぞれの位置で自転しているとされるのだが、その運動の原因は、その外側の天球
でしかありえない。(地球は静止しているので)そして、一番外側の天球を動かす力(第一動
者)こそ、「神」にほかならない、というのがアリストテレスの主張であり、キリスト教世界観
と実にうまく適合し、長年、支えていくことになるわけです。

かくして、17世紀、ニュートンによって、微分、積分の手法が確立するまで「ゼロ」と「無限
」の概念はヨーロッパでは、タブーであり続けたのです。

一方、インドを中心とする東アジアでは、仏教の「色即是空」、「空即是色」及び諸宗教におけ
る「輪廻」などという概念に代表されるように、「無」とか「永遠」(時間における「無限」)
と言う概念は、かなり普遍的なものであったといえます。
「ゼロ」(無)がインドで「発見」されたというよりは、「ゼロ」という概念を「受け入れる」
下地があって、記号化、記数法として確立した、ということではないでしょうか。

現に、「アラビア数字」との呼び名に象徴されるように、「ゼロ」を含めた記数法と概念は、イ
スラム世界から広がっていきます。
そして、近世ヨーロッパも、キリスト教世界も「使わざるを得ない」状況に追い込まれていくこ
とになるわけです。

「ゼロ」(無)の背景に、これほどの文化的、哲学的、宗教的世界が広がっているとは、、、、
まさに、眼からウロコ、の読書体験でした。
<ミニコーナー>
原田美枝子さんです。最初はおどおどしていたものの、どんどん逞しくなっていく妻の役を見事
に演じきって、実に魅力的でした。
写真は、同映画の公式HP(http://www.roku-love.com/)から
 

テレビの行き着く先

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 6月13日(土)10時08分32秒
  偶々、兵役制度が話題になりました。国民皆兵とまではいかなくても、一定期間兵役
とか訓練を義務付けている国は多い。
「スウェーデンもそういう国なんだけど、国際的なスポーツ選手とか、優秀な学生、
研究者などは、その義務が免除される制度があるの。だけど、その見返りとして、課
せられることがあるのね。」とマスター。はて?
「スポーツ選手の場合だと、引退後でいいんだけど、一定期間、自分の得意分野を子
供たちに無償で指導したり、教えたりしなきゃならないのよ。」
「自分の得意分野で、次代の育成という世の中への貢献が出来るわけだから、いい制
度ですねぇ〜。」
以上、今週もグレローニュースは、USO800Khzでお送りしました。
                  
さて、今週は、「テレビの青春」(今野勉 NTT出版)をご紹介します。

「題名から内容を誤解してはならない。「三丁目の夕日」のような感傷は断片すらない。
あるのはすぐれて今日的な問題関心である。これからのテレビメディアはどうあるべ
きか?東京放送の草創期の社員で、のちに日本初のテレビ番組制作会社「テレビマン
ユニオン」を創設した著者がこの問題を解こうとする。」(09年4月20日付 読売
新聞掲載の井上寿一氏(日本近現代史家)の書評の冒頭引用)

これ以上の紹介は蛇足とも思うのですが、そうもいきませんので、感想やらをまじえ
て、書いてみることにします。

1959年に著者が入社した放送局が「ラジオ東京」(現TBS、当事、テレビ部門
は、一般に「ラジオ東京テレビ」と呼ばれていた。)というのが何より象徴的。当時、
電波メディアの主役は、あくまで「ラジオ」であった。また、映像メディアの主役は、
「映画」という時代。
現に、著者の同期入社の中には、実相寺昭雄(のちに映画の世界に転身)をはじめ、
映画志向の青年が多く、滑り止めで入った鬱屈感を抱えながらも、テレビドラマの世
界を切り拓いていきます。
著者自身が「修羅場」と呼ぶ厳しい現場、数々の失敗と試行錯誤の日々―細部のエピ
ソードでそれらを描き出す今野の筆力はさすがです。

「電気紙芝居」などと揶揄されながらも、彼らの努力によって映画、ラジオを凌駕し、
長年、日本の娯楽、報道、広告宣伝の王者に君臨してきたテレビというメディア。

それにしても、、、、、、と思うのです。
「最近のテレビはつまらない」との声をよく耳にします。ネットの影響と不況による
スポンサー離れが制作費の削減を招き、低コストで低俗な番組の横行が視聴者離れを
一段と加速させる、そしてそれがスポンサー離れを一層助長する、と言う「構造的」
な負のスパイラルに入ってしまったようです。

私自身が、完全にテレビ離れをしてしまっていて、ネットな日々を送っています。
情報収集、発信にこれほど便利なツールはない、と思っているわけですが、かといっ
て、ネット万能の時代がず〜っと続くのかな、という漠然とした疑問も頭をよぎりま
す。
かつて、映画がテレビに駆逐され、今やネットがテレビに取って替わりつつあるのは
事実だとして、さて、ネットを超える新たなツールが、将来、現れるのか、現れない
のか?

とりあえず、時代の流れに溺れない程度に、身を任せていこうと思います。
<ミニコーナー>
ワシントンにある「ベトナム戦争戦没者慰霊碑」(Vietnam Veterans Memorial)です。
全長75m、高さ3mの花崗岩の壁には、58、249名(2005年現在)の戦没
兵士の名前が、一面に刻まれていて、宗教色はなく、年間300万人の人々が訪れま
す。
イラク戦争での米軍兵士「だけでの」死者が4000名を超え、アフガン紛争も出口
が見えません。新たな慰霊碑が必要とならなければいいのですが、、、、、
(Wikipediaの記事等を参考にしました。)
 

ヘリの蘊蓄を傾ける

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 6月 6日(土)09時20分3秒
  「どうしたの?」久しぶりにお店に顔を出したアキちゃんにマスターからの一言。
「それはないでしょっ。時間が出来たから飲みに来たのっ。」「ごめん、ごめん」
やっぱり、時々お店には顔を出したほうがいいみたいです。
以上、今週もグレローニュースは、USO800Khzでお送りしました。
                  
竹とんぼからの連想でしょうか、ヘリコプターというのは、一見、飛行の原理や仕組みが、飛行
機に比べると簡単なようにみえる。
しかも、離着陸に場所を取らず、空中での静止(ホバリング)が出来、風にも強いなど、飛行機
と比べ、格段に優れた特性を持っている。現に、高所作業、遭難救助などはヘリの独壇場といっ
ていい。

だが、「機械仕掛けの神」(ジェイムズ・R・チャイルズ 早川書房)によれば、「本当に使え
るヘリコプターが登場したのは、1940年代」だというから、これは驚き。
「使えるヘリ」の開発に取り憑かれた“ヘリコプトリアン”と呼ばれる人々の苦闘は、そのま
ま、奇行、奇癖、奇想天外のアイディアのオンパレードといっていい。豊富な実例、図版が登場
する前半は、それだけで十分楽しめる。

で、ヘリコプター実用化の大きなきっかけとなったのが、回転翼(メインローター)のピッチ
(水平に対する角度)を任意の位置で変えられるという巧妙な仕組み。ロシアの発明家シコルス
キーの発明にかかるものだが、例えば、ローターが機体の後ろに来た時だけ、ピッチを大きくす
ると、後ろを持ち上げる揚力が働いて、機体はやや前のめりに前進させることができる。このま
まではいずれ地上に激突するので、ローターの回転数などで高度を保つことで機体を水平に前進
させるという微妙な操作が必要となるわけですが、、、、、、、、お分かりいただけましたか?

ちなみに、セスナの免許取得は、最短で100数十時間に対して、ヘリは200時間以上という
から、いかにヘリの操縦が難しいかがわかる。刻々変わる機体の動きを、早め早めに読み取っ
て、ミリ単位の操作でコントロールしていく、、とても私には出来ません。(あたりまえです
が、、、、)

さて、後半では、戦争がおおきな契機となって、実用化した後のヘリを巡る歴史的エピソードが
中心になります。ベトナムからの米軍の撤退の際に活躍したヘリの様子は、今でもありありと記
憶に残っています。

というわけで、ヘリコプターの歴史、文化からテクノロジーまで説き起こした中身の濃い本のご
紹介でした。
<ミニコーナー>
ついでに、このコーナーもヘリの話題で攻めようと思います。
ロビンソン社製の人気小型ヘリR22 Betaの計器パネルです。
コンパクトで機能的なレイアウトがあまりにも素晴らしいので、マスターがデスクトップに貼り
付けているらしい。マイナーな話題で、興味のない人には、「恐縮ですっ!」
 

世界文学を「食」す

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 5月30日(土)08時43分53秒
  「“ゴルゴ13”も何歳くらいになるのかな~」とマンガ大好きのiさん。
「シリーズが150巻くらいまで出てて、毎年4冊づつ刊行されてますよね。30歳でスナイ
パー業を始めたとして、70歳近く。年金生活でもしてんじゃないですか」
「おいおい、夢をぶち壊すなよっ」自分で提起した話題で、墓穴を掘ったiさんです。
以上、今週も、グレローニュースは、USO800Khzでお送りしました。
                  
名著の呼び声が高かった「世界文学「食」紀行」(篠田一士 講談社文芸文庫)が20数年ぶり
に復刊されました。

日本文学で描かれる「食」は、総じて淡白。登場人物とか社会背景にリアリティーを与えるため
の、まあ、刺身のつま、みたいな扱いが多いような気がします。

一方、世界文学における「食」の世界は、さすがに広大無辺といっていいのでしょうか、登場人
物の性格とか、社会背景を超えて、個人の思想性、時代精神までをも表現する手段として、実に
効果的に使われることが多い。(以下、同書から一部引用)

「百年の孤独」(ガルシア・マルケス)にすさまじい大食い大会のエピソードが登場する。
大会は4日間にわたり、男女各1名が戦う。
1日目では、タピオカ、ヤマノイモ、焼きバナナなどどっさり出た後で、子牛一頭を平らげるの
だが、勝負は付かず。

4時間ほど眠ったあとは、50個分のオレンジジュースと8リットルのコーヒー、30個の生卵
を飲み、2頭の豚と4箱のシャンペンなどを片付ける。
それだけではない、2羽の七面鳥を焼いたのを一羽ずつ召し上がれ、といわれたとき、この大食
い大会のドラマはクライマックスを迎える、というのだが、、、、、、、
う~ん、虚構といえども、ラテンの世界は、濃厚にして濃密だ。

ギュンター・グラスの「ブリキの太鼓」では、「玉ねぎ地下酒場(ケラー)」が登場する。
ケラーといいながら、ここでは酒は出ない。客の前には、まな板と包丁が並べられ、生の玉ねぎ
が配られる。お客は、好きなように玉ねぎを切り刻むのがご馳走というまことに阿呆らしい話。

「、、、、、、、、その汁がなにを果たしてくれたのか?それは、この世界と世界の悲しみが
果たさなかったことを果たした。すなわち、人間のつぶらな涙を誘いだしたのだ。このとき、一
同は泣いた。ついに、またもや泣いた。、、、、、、、、」(高木研一訳 同書から)
ドイツの悲惨な時代精神を表現するのに、こんな手があったのかと感心するしかありません。

見開き2ページづつに収まった144編のエピソードは、上質にして、深い味わい。すいすいと
飲め(読め)ました。
<ミニコーナー>
テレビ離れしている私が、最近良く見る番組に、「夢の扉~NEXT DOOR~」というのがあります
(TBS系 日曜午後6時半~7時)。
プロがやっても50時間はかかる炭焼きを、5時間で出来る炭焼き窯の開発に取り組む工業高校
の先生と生徒など、世の中に役立つ技術開発を目指す様々な人々の苦闘を図なども入れて丁寧に
描いていきます。
当然の如く立ちはだかる壁をどう乗り越えるか、、、、、、こちらもついつい身を乗り出して、
ああだろう、こうだろうと頭を巡らすのが楽しい。良心的で、知的興奮を呼ぶ良番組です。
番組HPは、http://www.tbs.co.jp/yumetobi/
 

ココロとカラダを巡って

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 5月23日(土)09時07分44秒
  靖国通り沿い、書泉グランデの並びに「本と街の案内所」があって、マスターも時々お手伝いで
詰めているとのこと。(http://go-jimbou.info/annaijo/?page_id=34/
「福岡から学者風の二人連れが、浮世絵を探してるっていうんで、2,3お店を紹介してあげた
んだけど、いきなりじゃなく、もう少し、下調べもしてきて欲しいよね」「本当にいい作品は、
店頭になんか置いてないですもんね」
「演劇関係の本を探している女性に、その分野に強いお店を教えてあげたら、探していた本が
あった、ってすごく喜ばれてね」「そういう経験ができるって、うらやましいなぁ、、、」
以上、今週もグレローニュースは、USO800Khzでお送りしました。
                  
「腰痛放浪記 椅子がこわい」(夏樹静子 新潮文庫)という本があります。
作家の夏樹を突然激烈な腰痛が襲います。姿勢をどう変えようとも去らぬ痛みで不眠の日々。あ
りとあらゆる医学的検査と治療を試み、最後は、神仏にすがるところまでいくのですが、原因は
不明のまま、数年経っても一向に改善は進みません。

そして行き着いたのが心療内科。医師の診立てによると、猛烈な仕事振りにネを上げた夏樹の潜
在意識が、いわば反乱を起こして、腰痛という信号を送っているのだと言う。とにかく仕事を減
らす、中断するしか治療法はないらしい。仕事がいっぱいある、とにかく痛みを取ってくれと駄
々をこねる夏樹と医師との壮絶な戦いが始まります。
最後は、本人も仕事を徐々に整理し、症状は快方にむかうことになります。

それにしても不思議なのは、心とカラダの関係。

「病は気から」という言葉があります。様々なストレスが、肉体的変調を引き起こすことはよく
知られていますし、自身の経験でも、ふと「気」の緩んだ時などに、思わず風邪を引いてしまう
なんてのがあります。
逆に、「気」が病の予防、治療に効果を発揮することもあるわけで、「笑い」がカラダの抵抗
力、免疫力を高め、場合によっては癌予防にも効果あり、との研究結果を聞いたことがありま
す。そういえば、「生きがい療法」なんてのもありましたっけ。

人間の肉体は、所詮部品を寄せ集めたいわば機械のようなものであり、生命の本質も生化学反応
である、とする今までのパラダイム(枠組み)に対して、心とカラダの関係も「含めて」、人間
をもっとホリスティック(包括的)に捉え、予防、自然治癒に重点を置いた医学のありようを探
っていく、、、、、、、、、

マスターから借りた「ホリスティック・パラダイム 生命のダイナミクス」(日本ホリスティッ
ク医学協会編 柏樹社(1990年))でいろんな学者が、様々な切り口で語っているホリステ
ィック医学というものを、私流に(大胆かつ勝手に)解釈すると、どうもそういうことらしい。

中でも、ラリー・ドッシー博士の「医学におけるこころの問題」が分かりやすく、興味を引きま
した。
ある研究によると、心臓発作の原因としては、「職場、仕事での満足感の欠如」が、喫煙、高コ
レステロール、高血圧などより危険度が高いのだという。
また、感情を自分の中に封じ込めてしまうタイプの人ほど癌にかかりやすいという別の研究結果
もあるという。全身がイボでおおわれるという難治性の遺伝病が、催眠療法で改善した症例の記
述もある。

マスターに返しておきましたので、興味のある方は、是非ご一読ください。
<ミニコーナー>
「国宝 阿修羅展」(東京国立博物館平成館 6月7日(日)まで)に愛妻と行ってきました。
八部衆像(全8体)、十大弟子像(現存6体)の国宝14点も合わせて展示されるとあって、お
っとり刀で駆けつけた次第。
いや〜、阿修羅の憂いを含んだ表情にうっとりと見とれてしまいました。(昔、遠足で行って、
見てる筈ですが、小学生に良さが分かる訳はないですよね)
当時の仏師たちは、「仏像」を作る気は毛頭なく、「人間像」を作りたかったんだろうな、との
思いがひしひし伝わってきました。
1時間程度の行列覚悟でお出かけください。画像は、阿修羅像(同博物館のHPより)
 

謎のオブジェ情報

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 5月16日(土)15時33分54秒
編集済
  「都営地下鉄 円錐 マーク」で検索したらわかりました。
同じような疑問を持つヒトが、いるんですねぇ。
マスターの指摘どおり、石原某の児戯、わがまま、ということのようです。

http://www.excite.co.jp/News/bit/00091086658279.html/

上記サイトによると、名前は、「くるくるシンボル」らしいですが、どうみても「くるくるパーのシンボル」。
都営のHPにも情報はなく、目立つために作ったサインのことを、おおっぴらに出来ないとは
滑稽ですねぇ。
 

最後のちょっといい話 Part5

 投稿者:作家モト  投稿日:2009年 5月16日(土)09時13分17秒
  「ちょっとここでスキップしてみてください」某氏から突然いわれた。
それらしきことを、モタモタとやってみると、「ヒトはスキップするとき、幸せな顔に
なるんですよ。だから気分が落ち込んだ時など、スキップという行動から入ることで、
気持ちを切り替える効果があるみたいですよ」
某氏が毎日スキップをしているかどうかは、訊き忘れた。
以上、今週もグレローニュースは、USO800Khzでお送りしました。
                  
硬い話題が続いたようですので、久しぶりに「最後のちょっといい話」(戸板康二 文
春文庫 1994年)の第5弾で肩のコリをほぐしてもらおうと思います。どうぞお
楽しみ下さい。

渡辺美佐子は仲間から、ミチャコと呼ばれて来た。時には、メチャコだの、ムチャコ
といわれたりもした。その美佐子が俳優座の養成所にいて、芝居をすることになった
が、舞台稽古の時、客席で見ている千田是也が、大声で叫んだ。「アチャコ!」

中村伸郎はガンではないかと疑って癌研に入院した。その時、もうだめだと思ったの
で遺言を書いておいたが、幸い無事退院したあと、それを読み返したら、じつにくだ
らないことが書いてあった。「ピアノの上の九谷の壺は高価なものだから、人にはやら
ずに、売ったほうがよろしい」

浅香光代が去年の秋大阪で西城秀樹と共演、同じホテルに泊まっていた。エレベータ
ーで上がって先に降りる時、西城から「一人で寝られますか」と突然いわれた。夢見
心地で部屋に帰ったが翌日そわそわしながら、「きのうあんなこといったけど、寝られ
ないといったら、どうするつもりだったの」といったら、西城がニッコリ笑って、「睡
眠薬をあげようと思ったんです」

初場所で19歳の貴花田が優勝した。厚生省から相撲協会に電話がはいって、「祝杯は
お酒でなく」といって来たそうだ。ご親切な話である。

古今亭志ん生が大昔、いわゆる「なめくじ長屋」にいたころ、本麻の蚊帳というのを
「三十円の品物ですが即金なら十円に致します」という口上で売りに来た。キチンと
畳んであるのをつい確かめもせず、長火鉢の引き出しから紙幣を渡してしまった。さ
て開いたら、蚊帳の切れっぱしを畳み、赤い縁と環をつけて、見せかけだけのイカサ
マ。しまったと口惜しがったが、ふと気がついた。「うちに十円札があるはずはないん
だ。あれは一枚五厘で売っていたおもちゃの紙幣だった」

三木のり平はセリフをおぼえるのがへたでいろいろ苦心した。ある時、茶碗の内側に
セリフを書いておいたら、いたずら好きな共演者が、ほんとうに飯をよそってしまっ
たので、急いでそれをかっこんで、セリフを辛うじて読んだという話もあるが、なん
ともおかしいのは、幽霊のセリフを手の平に書きとめていた時の話。舞台で「うらめ
しや」と両手を垂れたので、何も読めなかったという。
<ミニコーナー>
最近は、女性の鉄道ファン(鉄ちゃん、鉄子)が増えているらしい。酒井順子さんも
「女子と鉄道」(光文社)で、そのことをカミングアウトしています。写真は、その表
紙絵。黄昏時の淡い色調と座席にちょこんと座っているウサギがかわいい。デザイン
は、有名な佐藤可士和、さすがです。
 

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